人々の営みや伝承、土地の風景や歴史にもとづく作品を制作する尾花は、江戸時代に長崎で生まれた物語『じゃがたらお春』をモチーフにした新作インスタレーション《遠く、眺める/じゃがたらお春の物語》を発表する。キリシタンの取り締まりが強化するなか、混血であることを理由にジャカルタに追放されたお春は、これまでさまざまなメディアで「悲劇の人」として描かれてきた。しかし近年の研究で、お春はジャカルタで商売に成功し、自らの意志で人生を切り拓いていったことが分かってきた。ドローイングや彫刻作品で構成される本作では、ジャカルタに渡ったことで封建的な支配から解放されたお春の物語を起点に、日本社会における制度や価値観を問い直す。