覆面を被った正体不明の男。ヒーローというよりも悪役。それも本編には大きく関わらないような端役。彼らは主人公にはなれないけれど、ひとりひとりが淡々と日常を過ごしている。穏やかに仲間と笑ったり、やりきれない思いに泣いたり、どうしようもない事に怒ったり。決して語られることはないが、きっと彼らなりの小さな幸せと、充実感を持って生きているんじゃないか。表舞台には立つような華やかな存在でないけれど、彼らの不器用で愚直な生き方も大きな魅力にあふれている。
彼らが行き着く先は決して決まりきった絶望に満ちているものではない。ひとりひとりが日々を生き抜き、いつか明るい朝が来る事を信じている。どんなに深い暗闇であっても夜明けはいつかやってくる。そんな彼らの生き方に一筋の光をあてるかのように、表には出てこない彼らの哀愁と物語を表現している。
地域・歴史へのリサーチを軸とした作品展開と併せて覆面を被った人物像の表現を行なっている。二つの表現は異なるベースによるものではなく、『覆面男たち』は日常や社会背景、人々の営みをベースとした作品展開として捉えている。